挑戦中

通常の実験室・分析室において
通常の光源1コで
単色光・連続光のマイクロビームや平行ビームを自在に作成し、 様々なX線分析法の高度化と複合化を比較的安価に実現する!

様々なX線照射分析と必要条件

PDF X線複合分析装置|株式会社応用科学研究所 

1、試料にX線を照射する主な分析法

蛍光X線分析 XRF(X-ray Fluorescence Analysis)

試料に連続X線を照射して、試料から発生する試料元素特有の特性X線を検出して
試料を構成する元素の定性分析定量分析を行う

X線回折 XRD(X‐ray diffraction)

試料に単色X線を照射して、試料の結晶構造に対応した回折X線を検出して
構造解析を行う。原理上は単色平行光が必要

X線光電子分光 XPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)

試料に単色光を照射して、試料を構成する元素から発生する光電子を検出して、
試料極表面の元素分析や状態分析を行う。AℓのK線が良く使われるが、CrのK線なども使われるようになっている

X線吸収端微細構造 XAFS(X-ray absorption fine structure)

試料に単色光のエネルギーを僅かずつ変えながら順次照射していくと、構成元素による吸収(吸収端)により、吸収スペクトルが生じる。この吸収端付近の微細構造は構成元素の電子構造等が反映しており、精密な状態分析が可能である

2、照射X線の必要条件

蛍光X線分析 XRF

  • 定性・定量分析のためには連続X線が必須
  • 平行光である必要はない
  • 微小部分析のためには、連続X線のマイクロビーム
  • 特定元素に限定の微小部分析なら、その元素の励起エネルギー単色光のマイクロビームでも可能であるが、定性は要注意、定量分析の精度も低い

X線回折 XRD

  • 原理上は平行光が必須であるが、点光源の場合は、薄膜試料や粉末試料を球面・円筒面上にセットすることにより可能
  • 微小部分析のためには、平行単色マイクロビーム

X線光電子分光 XPS

  • 単色光が必須
  • 平行光である必要はない
  • 微小部分析のためには、単色マイクロビーム

X線吸収微細構造 XAFS

  • 単色光のエネルギー走査が必須
  • 平行光である必要はない
  • 微小部分析のためには単色マイクロビームで、なお且つエネルギー走査

3、X線マイクロビーム

X線は、その波長が原子間距離程度であるため、可視光のように、屈折・反射を利用したマイクロビーム化が困難である。いろいろな工夫をしてマイクロビーム化が図られており、詳細が学振141委員会編「マイクロビームアナリシス・ハンドブック」のⅠ章1.2.3X線集光(朝倉書店2014)に記述されている。

様々な集光技術の中で、よく用いられているのが、MCX(Multi Capillary X-ray Lens マルチキャピラリーX線レンズ)とFZP(Fresnel Zoon Plate フレネルレンズ)である。MCXは単色光も連続光も効率よく絞れる(収率20~30%)が、最小径は高々10μm程度である。

また、入射光が発散光でも平行光でも、製作が可能である。一方、FZPは1μm~0.1μm以下に絞ることが出来るが収率は良くない(数%以下)し、受光面は高々0.3mm径である。また、入射光がほぼ完全な平行である必要がある。さらにまた、FZPの大きな問題は入射X線の波長/エネルギー毎に焦点距離が異なることである。MCXは全ての波長/エネルギーで焦点距離は同じである。

4、X線平行ビーム

X線の発生は多くの場合、発散光である。このため、単色平行光を作成するには特別な湾曲を有した結晶が必要である。連続光の平行化は非常に困難で、複雑な湾曲・平板結晶の組合せと精密機構が必要であるが、この場合も連続光を順次単色化して、平行光を得るのであって、連続光自体を平行化するのはほとんど不可能である。

他方、放射光と言われる大掛かりの装置では、その原理上、X線発生源からかなり離れた位置では平行光が得られる。しかし、放射光施設は巨大であり、非常に高価であるため、一般の実験室・分析室での利用は不可能である。

副島の発明のストレートMCにより(特許6430208)、単色光のみならず連続光でも安価で簡便な平行ビームが得られるようになった(平行度:1/10000)